思った以上に空き家も多く、部分的な撮影も可能だったので覧下さい。
簡単に感想を言うと・・・
勾配屋根の建物のシルエットの美しさと、建物間の隙間の重要性を原寸サイズで確認できました。
まずは、配置から。
※「奇蹟の団地 阿佐ヶ谷住宅」から 原典をご覧下さい
B街区、C街区、A街区、D街区と回りました。
カメラを向けられない方向もありますのでご容赦を。
どの街区も建物の高さの持つスケール感にあわせた広場が、住棟に囲われる形で存在します。
エントランス周りも趣があります。
シーンによってはとても阿佐ヶ谷と言う都会のど真ん中と言う感じがしない。
避暑地にでもいる感じがすることがあります、植栽の種類にもよります。
植栽の発展の歴史は先日ご紹介した本をご覧いただければと思いますが、
各々独特な雰囲気が有ります。
エントランスアプローチも各自の事情で工夫されていたようです。
外部の手直しには何がしかのルールが有ったんだと思います。
緩やかなルールと言うか、緩やかな自由さがなんとも言えない開放感をもたらしています。
資産上の境界をはっきりさせる事と、目の前の土地の所有を主張する事は別です。
分譲地でありながら境界を明確に主張させない事で何処までも自分の領域であるかの様な錯覚を楽しむことが出来る。
何でもかんでも『俺のもの』と主張して囲わない事で豊かに成っている良い例ですね。
広場にも、遊具のある街区中央の広場と、南北の住棟間に存在する緑地帯とがあります。
住民が若かりし頃は中央広場では自然発生的なコミュにティーが形成されて楽しんでいたようです。
公園『デビュー』とか肩肘張らず、外に出れば誰か居る・・・おおらかな良い時代でもあったのかな。
草刈の真っ最中のようで、綺麗に刈られた場所もありました。
街区と、街区・街区間には車道が取り囲みます。
ねこバスでも停まりそうなバス停もあります。
凄く良い感じでした。
巡回しているバスも最近見かける小型のタイプで、雰囲気にピッタリ。
残念ながら建物に入れない、外観だけでも見てみましょう。
前川事務所デザインの勾配屋根の住棟をピックアップしてみます。
原型はこれですね。
日本の住宅も広さが求められて、各々の敷地内で増築が盛ん行われたようです。
個別の庭に面して1部屋増やし、屋上を作る、このパタンがアチコチで行われています。
このお宅、素敵な感じでした。
今も住まわれているのでこれ以上撮影できません。
増築以外の外壁や屋根なども手入れされていて、何となく温もりを感じます。
街区全体がこういう意識でメンテナンスされていたらどれだけ輝いている事かと思わされます。
メンテナンスフリーって魅力的な言葉なんでしょうね、殆どのお施主さんが言われます。
でもフリーは有りえないんですよね、使ったら補充しないとね。
でも、空き家と成って行った一番の経緯は「狭すぎる」事にあるんだろうな。
建物の持つボリュームと人間の関係、今回はとても優しい関係が有りました
そして、建物と建物の間の広さと遊具や植栽の配置の関係の豊かさと言うか良さ
境界線の視覚的な有無
住まい方の変化に合わせた節度ある改装
メンテナンスする事で生き返る建物
色々な事が合わさって気持ちの良い場所を作り出していたようです。
なかなか、楽しかった。
良い勉強になりました。
追記:外部空間が建物や環境の演出に最大限の効果を挙げている事例として「大倉山ヒルタウン」
が有ります。ググッて頂くのもいいですが、こちらをご覧になると早いですね。
ブログの管理人さん、古マンションファンとか、さすがに気持ちの良いショットが乗っています。
このマンション近いので僕も見に行っています。気持ちの良い、近い方は一度どうぞ。